かっこいい匠たちvol.3
「モノ」のためではなく「人」のために
住宅の新築からリフォーム、施工・外装工事、企業の事務所や鉄骨倉庫の建築など、幅広く手掛けている プロバンス風デザイン・施工、エイジング加工、防音ルームなどの特殊加工・施工も行う。
“お客さまの笑顔を求めて、心で喋る”
大工である父の影響を受け、この仕事を始めた。その後、別の親方の下でハウスメーカーの下請け仕事をしながら技術を学び、独立。「大工の仕事は決められたものを組み立てるだけではない。一人ひとりのお客さまの要望にもっと応えたいという強い思いがありました。」と当時を振り返る。「柴田さんのところでやってもらって良かった、と笑顔で言われる時が一番嬉しいです。お客さまと話す時は、『心で喋る』ことを大切にしています。」相手の表情や身振り手振りなど、言葉には表れないものをくみ取って、真の要望を理解するように努めていると言う。「そうすることでお客さまのこだわりにもっと応えられるし、こちらからも伝わるものがあると思うんです。」こうしたコミュニケーションがお客さまの満足と笑顔につながっているのだろう。
“「人」のために・・・生活の自由度を広げて、長く楽しく住む提案を”
プロバンス風デザインの施工は、柴田さんのこだわりのひとつ。おしゃれな雰囲気や年月を重ねたような風合いを出せることに加え、調湿効果のある漆喰壁を使うという機能的な良さもある。「実は、一番大切なのは『人の住みやすさ』なんです。まっさらの新品はきれいですが、人は新品のまま使うことを意識し過ぎてしまうことがあります。例えば、子どもがおもちゃで遊んでいて新品のテーブルを傷つけたら、親は必要以上に子どもを怒ってしまうことがあるかもしれません。これは子どものために叱っているのではなく、『もの』のため、テーブルを『新品の状態に保ちたい』から怒っているという場合もあるんじゃないかと思うんです。長く使ったような風合いに見せる、エイジング加工をした新品だったら、多少のキズは気にならない。テーブルの使い方が自由になるし、上におもちゃを広げて遊んでも大目に見られる、気持ちの余裕ができるかもしれません。」「エイジング加工をした内装なら手を加えやすくもなるでしょう。日本の住宅の価値は、新築の時が一番高く、年数が経つにつれ下がっていきます。だから、新築すると自分で手をかけることを避けてしまいがちなんです。でも、最近ではDIYをする人も増えていますし、家に手をかけながら『楽しんで』長く住んでほしいと思います。」プロバンス風デザインは、生活の自由度が広がる提案、また手をかけることで住まいを楽しむ提案でもある。
“女性目線の設計で、家族のコミュニケーションを創る”
「現在、設計は女性の設計者がメインで対応しています。キッチンのパントリー、玄関の土間収納、ウォークイン・クローゼットなど、収納に対する要望が非常に多くなっていると感じますね。対面キッチンでLDKを見渡せるようにする、リビング階段を設けて親子が顔を合わせられるようにするなど、家族のコミュニケ―ションを大切にした設計もしています。」生活動線を考えながら、家族の接点をつくるデザイン提案が評価を集めている。
“任される信頼が、いい仕事をする原動力になる”
内装工事だけでなく、家具まで手掛けたこともあった。「『柴田さんにすべて任せるよ』という言葉をもらったんです。信頼に応えたいと思いました。ご相談の始まりは店舗改装でしたが、エイジング加工の壁のほか、テーブルや椅子など、家具も一つひとつ大工道具だけで作りました。オープン前には社員総出で塗装や施工も行いました。時間も労力もかかって大変でしたが、作る楽しさの方がずっと勝っていました。」顧客の信頼に応えようという気持ちから、施工分野にこだわらず、店舗改装工事をまるごと受けた。作り手が「楽しい」と思える仕事をしていることは、施主にとっても嬉しいことだろう。
《スタッフの一言》
家も家具も、技術も素材も、全ては人のため。「人の心」を大切にしている職人さんでした
「心で喋る」、大事なことですね!