かっこいい匠たちvol.11
“大切なのは日本の職人の「心」と「好奇心」と「仲間づくり」”
“新しいことへの探求心がより良い仕事を生む”
建物の外装・内装の塗装全般、幅広く仕事を手掛ける天野さん。「お客さんからはきれいで長持ちする塗装が求められます。塗料自体は耐久性がある塗料、外壁のサイディング用塗料、遮熱効果など機能性を持つものや、色を組み合わせてデザイン性を高くする塗料など様々な塗料があります。今回のコロナ対策として、抗ウィルス・抗菌効果で衛生性を保つ塗料を現在実証中で、店舗や自宅、自動車内装などに活用するべく準備をしています。」
「屋根のドローン診断はいち早く取り入れました。ドローン操作は難しく操作技術も必要ですが、今まで見えなかった屋根の劣化状態をお客さんと一緒に確認して提案することができます。映像で現状を確認できることはお客さんの安心感につながっています。自分は好奇心が旺盛なので、お客さんが喜んでくれるように新しいことにもチャレンジしています。」ご自身が持つ探求心がより良い仕事のチャンスを広げ、顧客の満足感と安心感を提供している。
“きちんと作り上げる職人の心”
「祖父が宝石箱を作る職人、父は塗装職人で、小さなころから二人の姿を見てきたせいか、形として残せるものを作る職人への憧れがありました。大学卒業後すぐに稼業の塗装業を始めました。初めの3年は全く塗装をさせてもらえず、作業の準備や掃除が仕事でした。一人前に塗装ができるようになるとすぐ全てを任されるようになり、何もかも自分で対応するようになりました。辛かったこともありましたが、今振り返ると良い経験だったと思います。塗装業を次いで18年間継続してこれたのは、劣化したものが目に見えてきれいになる楽しさと達成感、きれいになったことでお客さんが喜んでくれること、そして何年も形として残る仕事ができるからだと思います。」
「日本の職人が持つ、「一つのものをきちんと作り上げる心」を大事にしたいと思っています。塗装職人の仕事は、きれいに塗装するのはもちろんのこと、塗料の性質を理解して、長く使えるものを作り上げることです。塗装する前にきちんと養生して細かい箇所、見えないところまで仕上げることも仕事です。吹付け塗装は技術がいる工法ですし、最近ではデザイン性も重要になってきています。」知識と技術と感性、そして一つひとつきちんと作り上げる心を持って仕事をやり抜くからこそ『プロ』と言うのであろう。
“塗装の魅力を広げたい”
「今後は仕事の対応エリアを広げることや、職人を育てることも考えていきたいと思っています。塗装職人だからこその楽しさや面白さを伝えることや、付加価値をつけて魅力ある仕事にして、この仕事をやってみたいという人を増やしていきたいと思っています。現在は商工会議所の支援を受けながら経営革新計画制度も活用し、若手職人が技術と共に経営も学んで独立できるように塗装業界の『暖簾わけ』を推進しています。」
「若い人には、下積みよりも実際の仕事経験を積んで、面白さをわかってもらいたいと思っています。今は社員も増え、2名の女性社員も自分からこの仕事をやりたいと言って入社してくれました。いずれは塗装屋の暖簾分けで、皆が独立して、お互い協力しながら仕事ができる仲間になってくれたら良いと考えています。」職人離れが広がっている中で、仲間を育てることはご自身の仕事を育て、更には塗装業界を育てることを目指している。
(三井さん)
女性の若手塗装職人さんも活躍中。「昔から職人さんの作業する姿がかっこいいと思っていました。モノを作っている姿に憧れもあったのかもしれません。子どもと塗り絵をしていると自分だけ集中してしまったり。モノづくりが好きなんだと思います。今までは全く違う職種で働いていましたが、塗装の仕事は面白そうで、女性でもできるかも?できるならやってみたいと思い飛び込みました。まだ始めて1年なので覚えることはたくさんありますが、新しいものを作る楽しさがあるから続けていると思います。今後は自分にしかできないことを見つけていきたいです。」
《スタッフの一言》
時代や市場環境は常に変化する中で、職人さんのモノづくりへの心は変わらないのだと思いました。お客さんのために仲間と一緒に良い仕事を育て広げたい、熱い想いが伝わってくる職人さんでした。コロナ対策の抗ウィルス・抗菌塗料開発の今後も期待しています。