かっこいい匠たちvol.12
“お客さんのイメージを塗装で作る職人”
“塗装技術とアイデアで他にはない意匠を作り上げる”
住宅や店舗の塗装を手掛けている西川さん。通常の内外装塗装はもちろんのこと、特殊塗装も西川さんの得意分野として評価が高い。「一軒一軒丁寧に仕上げる仕事が自分に向いていると思っています。特に特殊塗装は、ビンテージ風の塗装や、モルタルを塗って削るモルタル造形・デザインコンクリートと言われる技術もあり楽しい仕事です。」
モルタルを使って左官技術と塗装技術を融合した、石を積んだような凸凹の意匠にする特殊塗装。
歯科医院をカフェにリノベーション。無機質なアルミ素材のドアに、木目デザインの特殊塗装。アルミ素材の耐久性は保持しつつ、自然の温かみがある雰囲気に。リノベーションでも空間デザインをガラっと変えられる。
ウッドデッキ風の玄関の床。スタンプコンクリートで凹凸をつけて木目を描いている。
本当のレンガのように見えるがこれも特殊塗装。モルタルを塗って削ってを何度も繰り返して、レンガの意匠に仕上げている。
学習塾のトイレ。異なる色や塗り方を組み合わせて宇宙のイメージに。子供たちの可能性は無限大であることを表現している。
「単色塗装、単なるコンクリート敷いただけ、量産品のタイルを貼っただけでは面白くないと思う人は多いと思います。特殊塗装は、アイデア次第で様々な意匠ができます。他にはないものづくりも魅力で、施主さんがイメージしてることをどう表現できるが大事。アイデア段階から仕上げていく過程も楽しいです。」ひとつひとつの仕事がアート作品のような特殊塗装。顧客の作りたいイメージを西川さんの技術とアイデアで作り上げている。
“人が絡むからこそどんな仕事も楽しい”
「知り合いに親方を紹介してもらい塗装業界に入ってから20年。いろいろな仕事にチャレンジしてみたいと思っていて、まわりの人が自分を認めてくれたこともあり、2年前に独立しました。特殊塗装に興味を持っていた頃、あるセミナーがきっかけでその道のプロと知り合って指導してもらいました。建築会社さん、設計士さん、デザイナーさんからの依頼も多く、最近はSNSからも依頼も増えています。仲間やお客さんが自分に頼んでくれた思いを汲んで、仕事を通してわかり合えることも楽しさと思っています。」相手を理解しようとする気持ち、ご自身がやりたいと思う気持ち、積極的な行動が、人の信頼とつながりと仕事も広がっている。
「独立してよかったと思うのは、お客さんの顔が見えるようになったことです。会社員の頃は、どうしても作業内容や時間に限りがあり、もう少しできたのではないかと思うこともありました。あーすればよかったと後悔するより、多少手をかけてでもしっかり仕事をしたいと思っていました。独立後は、お客さんと直接やりとりをしながらより良くなるような提案ができたり、手もかけれます。その出来上がりを見てもらって『あなたに頼んでよかった』と喜んでもらえるのが一番うれしいです。」
「塗装の仕事では耐久性が重要です。見た目は本人が納得すれば良いと思いますが、対象の場所や環境、素材によってどの塗料を使い、どのように塗装するかは長年の経験から見定めます。下地の処理と手間のかけ方は塗装職人ならではと言えます。また普段から挨拶と清掃、人が見ない細かい箇所まで気にかけることも大切にしています。丁寧な作業がいい仕事がつながると思っています。」
一般住宅の塗り替えでも『より良くなるにはどうすれば良いか?』という視点は忘れないようにしています。
塗装技術は日進月歩でいろいろ方法があるので、手法やデザインなど研究するのも好きです。昔から人とは違ったことをやりたいと思っているので、下調べは惜しみなく時間をかけます。特に特殊塗装は考えれば考えるだけアイデアもでてきます。お客さんのイメージに近づくようにアイデアを実現させることも職人の仕事とも言えますね。」
「これからは塗装業や特殊塗装に興味がある人に技術を伝えたいと思っています。塗装技術者の成り手が少なくなっているので。技術と共にただ言われたことをするだけではなく、自分から積極的に関わり、苦労をしてでも達成したときの喜び、お客さんや仲間に感謝される喜びも伝えていけたらいいなと思っています。」
《スタッフの一言》
「どんな仕事も楽しい」と笑顔で話す西川さん。単なる作業だけが仕事ではなく、お客さんの希望を叶える楽しさ、自分で研究して新しいものを作り上げる楽しさ、仕事を認めてもらう楽しさ。人のためにいい仕事をする楽しさと喜びを実感しているからこそ、言える言葉なのだと思いました。塗装でもいろいろな意匠ができることで、自分や家族だけの空間を作るイメージも広がりそうですね。